激動の令和6年が終わり、令和7年は、どういう年になる介護業界
訪問介護の倒産件数が、2024年1月から10月までの間に72件に達し、前年の年間最多記録を既に上回りました。ホームへルパーの有効求人倍率は、他の介護職種と比較しても特に高く、15倍を超えると報告され、深刻な人手不足を反映しています。
そのような中で、2024年介護報酬改定における基本報酬の2%以上のマイナス改定への批判も強まっています。しかし、別の視点で見ると、状況が異なります。厚生労働省によりますと、令和元年に34,825事業所あった訪問介護が、年々増え続けて、令和5年には、36,905事業所に増加しています。倒産廃業件数が増加していますが、事業所数は伸び続けています。ここから推論できることは、倒産廃業件数が増加は、事業所間の競争の激化と、結果としてホームへルパーを確保できない事業所が淘汰されているという現実です。ホームへルパーの高齢化も進んでおり、今後は高齢スタッフの退職も増えます。
厚労省によると、新たな処遇改善加算を未算定の訪問介護事業所が17%、区分3−4を算定する訪問介護事業所が50%です。これらの事業所は、ホームへルパーの確保競争で、すでに負けています。
今後は、処遇改善加算や生産性向上への取組を活用出来ない事業所は、人材を確保する事が出来ずに廃業に追い込まれるケースが増えてくると考えるべきでしょう。特に、訪問介護においては、自然淘汰が進み、同時に再編成が進んでいますが、
デイサービスなども例外ではありません。デイサービスは平成28年から令和5年までの8年間、事業所数は43000から変わっていません。新たなニーズに対応した事業所が開業すると同じ数だけ、旧態依然とした事業所が廃業に追い込まれています。デイサービスであれば、レスパイト型から、リハビリ型への転換の遅れです。今後は、さらにリハビリ型が選別されていきます。アウトカムが重視されます。介護事業所は、国営ではありません。
民営で、自由経済社会の中で、生存競争の真っ只中にいるのです。国は、介護保険制度は守りますが、一介護事業所を守ることはありません。すべては、経営者の自己責任です。廃業に追い込まれた事業所の利用者と職員は、生存競争に勝った事業所に移るだけです。退場するのは、時代の変化に適応できなかった経営者だけです。激動の令和6年が終わり、令和7年は、どういう年になるのでしょうか。